私の両親は何年も前に他界しており、家族はずっと疎遠にしている兄がいるだけでした。ついに先日その兄も亡くなってしまったのですが、生涯独り身だった兄の死後の面倒は私が見るほかありません。とは言え、私も遠方に嫁いで子供もいるため、葬儀の手配など最低限の弔いはしましたが、遺品整理までは手が回りませんでした。そこで、兄の遺品整理は思い切って専門業者の方に全てお任せすることにしました。正直なところ、もう何年も連絡を取っていなかった兄なので、遺品も全て処分していただいても構わないと思っていました。しかしながら、遺品整理業者の方は形見になりそうなものは処分せずに残しておいてくださり、一部は私の手元に残すことにしたのです。形見を手にしてみると、やはり血を分けた兄弟の存在が完全に消えてしまうのが悲しく思えるようになったので、業者の方の対応に今となっては感謝しています。兄は今、両親と同じ墓に入っており、年に数回は私の家族と共にお参りに行くようにしています。